総理大臣の陰謀

忘年某月 某日 某国総理に就任した彼はアメ国をはじめの訪問国として選択し、今来ていた。
参謀を含めた儀礼的な会議を終える際、
大統領から、予定になかった別荘での犬の誕生日パーティに招待を受けた。
何とも不自然である。 家族のバースデーならともかく
例の、拾ってきた雑種の犬である。 しかも だいぶ大きくなった犬なので
誕生日など分かるはずもないのだが。

「明日、朝、我が家の犬が一歳を迎えます。 身内の者のみで簡単なホームパーティをします。
  これは公式でも何でもなく、ごく私的なものですが、ご一緒できればうれしいのですが?」

大統領家の犬はとうに3歳を超えていると事務官から説明を受けていた。

「ハーァ ?」

そんなことが頭の中を巡っていたので、調子はずれの声になった。
大統領も その声を聞いて 笑いをかみつぶしたように見える。
いい加減を絵に描いたようだ。

予定はびっしり詰まってはいたが、私的なパーティに呼ばれると言うことは外交的には
某の意味が含まれると、外務省の事務官から聞かされていたので総理は、

「やはり何かあるな?。」
と感じ、同行の官僚の目を見た。

彼らの目は OK と見えた。
犬のことを聞こうと思ったが

 「そうですか、それはめでたいことです。
   一歳の誕生日を3回もできる犬には是非お目にかかりたい。」

  さすがの大統領も笑いをこらえられず、手で口を押さえたが、彼の口は大きく
 開いた口をふさげなかった。
 だが、緊張している 総理は笑うことはできなかった。
 ふと、笑うべきだったかなとは 思った。
 大統領はこのジョークで秘密会談を臭わせたのであろうが
 官僚たちは全く気づかない。 まじめ一点張りの赤門出身者には
 この芸当は理解不能だった。

 その会話で大統領はこの総理に並々ならぬものを感じた。

 「予定はありますが、午前中ぐらいならスケジュールを変更可能です。
  もし、できるなら交通手段を整えていただけるならお伺いできます。」

 「勿論、別荘は遠いので車両で来るのは無理です。 ヘリがお迎えにあがります。
  では明朝お待ちしています。  本日はありがとうございました。」

大統領の目はそっと、会議室の大きな木製の扉に泳いでいた。
それに気づいた同行の官僚は総理とアイコンタクトで退室をうながした。

明朝、大統領専用ヘリが6時に爆音とともに総理の宿舎の庭に爆音ととともにおりったった。
何人かのSPと昨日紹介された美人の秘書も同行して宿舎の玄関まで迎えに来たのである。

勿論 事前に連絡が入り本日の招待は総理一人であった。

総理は彼らに挟まれながら専用へりに乗り込んだ。
大型ヘリの中は十分に広く、また、防音もしっかりできているため外の騒音とは隔離されて
会議もできそうな静粛性を保っていた。
内部は3室に区切られていて、パイロットと大統領専用のヘヤは前方にあり、厚い壁でふさがれ
厳重な扉が進入を防いでいる。
後方の区切りも前方ほど頑丈ではなさそうな区切りのパーてーションがあり、簡単な
扉があった。 中には 簡単な応接セットと飲み物などが並ぶキャビネットが用意されていた。
扉を開けた秘書は総理を誘導し、応接セットに招いた。
SPは中央の区切りのヘヤで、折りたたみいすを壁からおろし待機しているらしい。

後方の区切りに通された総理は秘書に誘導されるように 応接セットの長いすの対面に
座った。
長いすに腰をかけるととすぐに秘書は口を開いた。

「総理殿、本日のご予定ご説明します。
 60分で大統領の別荘にはつきます。」

「そんなにかかるのですか?」

「別荘に直接は行きません。 途中キャンプSで大統領をお乗せします。
  この機の中で30分ほど内密なお話があります。
  ご了承願いたいのですが?」

「全く、かまいません。」

「ただし、総理 この機の中でのお話はいっさい 極秘と言うより
     公表されればあなたも大統領も危険にさらされます。
     その意味はおわかりですね。」

総理はぞっとした。 つまり暗殺の可能性を暗に示したのである。
しかし、それほどの極秘内容とは
総理は頭を巡らしたが 公表されれば両国のトップが暗殺されるほどの内容など
想像もできない。

「総理、5分ほどで キャンプSにつきます。総理はここでお待ちください。」

     秘書はオレンジジュースを国旗の絵がかれているコースターを
  2枚引くとその上に乗せた。 



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特定秘密保護法はインパクトのある時期、状況に出され、成立を急いでいる。
その陰には、報道の自由の制限等と大騒ぎするより、より深刻な問題が隠されている
ように思われる。
その隠されたものとは?

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